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「フェアウエルツアー」と銘打たれたブロードウエイミュージカル「RENT」。20代前半で出会い、公演があるたびに足を運んだ大好きな舞台のひとつです。

千秋楽の舞台を選んだのは、このカンパニーで来日するのは最後となるので、そこに立ち合いたいと思ったから。

初めて足を踏み入れたヒカリエのシアターオーブはもちろん満席で、序盤から観客の熱量に圧倒されます。
新しい生活ルールにより、大声を出すことはNGなので拍手の勢いと無言のエールがとにかくスゴイ。一階前列の観客の後ろ姿からは特にそれを感じます。生演奏の体で感じる音を聴くのは久しぶりで、全身が浄化されていくようです。

1996年の初演から時代背景が変わり、セリフも書き換えられていることに時の流れを感じつつ、この舞台が終焉に至った意味を知ります。カーテンコールでは私も精一杯、手の腹が赤くなるまで拍手をして、大きく手を振りました。叫ばなくても、演者と心が通じた気持ちになれたのが不思議な感覚です。

それにしても11階の劇場から見下ろすと、渋谷の街並みは変貌しすぎていて、もはや一人では歩ける自信がありません。
西武百貨店は色褪せ、新しく乱立するビル群に埋もれているように見えます。

昨年の東京オリンピック開催のためにリニューアルされた宮下公園は、土足厳禁な空気感すら漂う近未来的なデザインをしています。名称は「MIYASHITA GARDEN」とローマ字表記に。
うらしまたろうってこんなことを言うのだろうなあと思いつつ、こんなの・・・こんなの・・・渋谷じゃない！！と一人納得の行かないまま、湘南新宿ライン・快速平塚行き(レアですね)に飛び乗り、茅ヶ崎まで爆睡して帰りました。
休日はひたすら読書と映画鑑賞で動かなかった頃と比べると、
だんだんとリアルな日常が戻ってきているんだと実感した、すごく楽しかった日曜日。

余談ですが都内では美白ファーストが常識で、ほとんどの女性が日傘を手にしています。
全日チャリや車で動き回る茅ヶ崎市民には縁遠いアイテムです。
帰宅すると10年以上前に買った私の日傘は、玄関の傘立てでホコリをかぶっていました。

（E）