こんにちは! とことこ湘南編集部のYです。
ここ最近、「とことこ湘南」内の「『鎌倉殿の13人』ゆかりの地めぐり」のコラムをいくつか書かせていただいております。
折角だから、桜の季節のうちに桜の名所でもあるゆかりの地をまとめておければと、先日鎌倉へ行って何か所か撮影をして参りました。(記事はコチラ)
その際、ゆかりの地の1つとして梶原景時を慰霊する「梶原施餓鬼」を毎年行っているという、「建長寺」にもお邪魔したのですが、その際、「鎌倉殿~」とは縁も所縁もありませんが気になったスポットがありました。
受付でいただいたパンフレットを見ていたら「虫塚」との表記が。
「2015年6月4日(虫の日)に養老孟司氏によって建立された。命を奪われた昆虫を供養する為の慰霊碑。デザインは建築家の隈研吾氏によるものです」(パンフレットより)
お寺の仏殿や法堂よりも奥、青々とした竹林に囲まれたスペースに「虫塚」はありました。
可愛らしいクワガタ型のオブジェ兼ベンチでしょうか。お子さんが座って、お母さんが写真を撮ったりなどしていました。
他にもたくさん。可愛いです。
奥にはこんなオブジェが。虫かごを模しているようです。
中央に小さなゾウムシちゃんが。周囲を囲む柵は虫かごのようでいて、上部は開け放たれています。これから魂が飛び立っていくのでしょうか。見ていると何だか切ない気持ちになります。
虫塚。
中には虫の妖精のような子供の姿が。そして石碑には養老さんのお言葉だと思うのですが、こう刻まれています。
「近代文明はおびただしい数の虫を殺してきました。それは今でも続いています。
それに気付いている、ということを銘記しようと、虫塚を建立しました。
塚にしたのは、すべてを言葉にすることはできないからです」
さわさわと竹が風にそよめく音だけが聞こえる静かな空間で、この言葉がすごく胸に響きました。
私も虫は好きな方ですが、幼少期は夏休みを田舎で過ごしていましたし、畑や野原で遊ぶ機会も多く…虫が好きだからこそ、虫には可哀そうなことをしてきました。
その償いになるかはわかりませんが、大人になってからは極力虫を殺さないようにしています。私もまた生き物なので、自分のテリトリーが脅かされた際には戦うことを選ばざるを得ませんが(刺してくるムカデ、菌を媒介するゴキブリなど。あと蚊はメダカにあげてしまうことがあります)そうでなければ小さな虫なども放っておきたい方です。
子どものころは平気で残酷な真似をしたものですが、いつの日からか、「今私が殺したらこの虫の一生はここで終わりなんだ…」と思うと、背負いきれないような気がしてしまうようになったからです。
ただ、これは別段心が優しいとかではなく、殺さないことを選ぶ余裕が持てているだけで、そうした日常が送れていることがありがたいことだと、特に昨今の世界の状況を見て思います。
つい先日、あるお店の取材の際、「あ、Yさん気を付けて。後ろの壁にクモがいます」とお店の方から言われ、振り向くと小指の爪ほどもない小さなクモがいました。更に続けて
「すみませんがそのままにしてもいいですか? 私、できればクモを殺したくないので」
と言われ、すごく嬉しい気持ちになりました。
そのクモは今も元気にしているかもしれないし、何かに食べられてしまったかもしれませんが、あの時放っておいたことで少しでも長く虫として生きられたならよかったです。
虫塚にあった、「人は虫を殺している。それに気付く」というのはこういうことかなと思います。
(Y)