この時期になるといつも思い出す本がある。
高校生の時、ケーキの美味しいカフェのマスターに
クリスマスプレゼントとしていただいた。
「サンタクロースっているんでしょうか?」偕成社
8才の女の子が「サンタクロースって本当にいるんでしょうか?」
という質問をニューヨークの新聞社に送った。
その質問に真摯に向き合い答えを社説に載せた実話である。
当時の私はいただいてすぐ読んでみたものの、
『ふ〜ん、いい本ね。』ぐらいの普通の感想だった。
が、何故か毎年気になり読んでいた。
時には何処にしまったのかわからなくなり、
同じ本をまた買っていた。
なので我が家にはこの本が3冊もある。
この本に限らず本の面白いところは、
歳を重ねていく時々で感情の動きが違っていることだ。
この本も年々受け取り方が異なる。
20代を振り返ると、
ガサツに生きていたのか、
あまり感銘を受けていなかったようにも思える。
今は何層にも重なった歳となり、
少女のような白いキャンバスの心が眩しくなっている。
そんな使い古した雑巾のような、
シミだらけのキャンバスでも、
この本を読むと少し漂白されるような気がする。
目に見えるものだけでなく、
目に見えないものを信じる心。
きっとサンタクロースはいるだろう。
そしてきっと、
サンタクロースが来るだろう。
そう信じている。(m)