世界三大映画祭のひとつであるヴェネツィア映画祭、コンペティション部門で銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督「スパイの妻」を公開翌日に観に行って来ました!
茅ケ崎近隣ではみなとみらいが一番近い劇場だったので、久しぶりに電車に乗ってお出掛けです♪
ちょうど「鬼滅の刃」が同時期に公開したので、ものすごい混雑。
館内には親子や、おじいちゃんと孫のペアが目に留まります。ここの映画館では感染対策で食事禁止のため、ポップコーンを販売しておらず、代わりに(?)鬼滅グッズを買わされています。
対して、「スパイの妻」のシアターは年齢層高めの観客。ちなみに、満席です。私の鑑賞する映画はいつもガラガラのため、気分が高揚します。
舞台は太平洋戦争がもう少しで終わりを迎える神戸。満州に渡り、偶然にも国家機密情報(とてもブルーな内容)知ってしまった商社の社長(高橋一生)が、自身の正義のためにその秘密を暴こうとする……という、サスペンス。フィクションにもかかわらず、当時のリアリティに裏付けられたストーリーに、ずっとはらはらさせられます。
メタファーなし、トリックなしで黒沢監督作品の中では非常に分かりやすい作品でした。
高橋一生の妻役である蒼井優が聡明で力強く、夫を一心に愛する献身的な女性を演じています。
物語の後半、前半部分とはがらりと変わって錯乱する表情は圧巻です。
「リリイ・シュシュのすべて」で薄氷のようにもろく、腕を掴んだら溶け消えてしまいそうな中二の存在感を体現した少女が、いまや日本を代表する女優さんとなりました。
高橋一生も相変わらず素敵です。船から手を振る所作も、やさしい語り口も、嫌味な笑顔も、全部!
映画が終わったらたくさんお買い物をして帰ろうと決めていたのですが、映画に満足し、お昼用のパンだけを購入。
帰宅してからはあまり食欲がなく(なかなか珍しい出来事)、心が満たされるとはこういうことなんだろうと実感します。忘れかけていた感情を思い出して、思いがけずよい週末になりました。
(E)