暑くなると、麦茶をのんだりしますね。大麦からつくります。ビールにもなります。麦飯(むぎめし)というのもあります。
およそ1万年前までは、麦はなかなかとれませんでした。実がなると、ひとつぶひとつぶがはずれて、風にふかれて、ぱらぱらと飛んでいってしまうのです。
あるとき、だれかが、なぜかまだ実が落ちていない麦の穂(ほ)をみつけました。これを増(ふ)やしていったのです。ここから、農業が始まったといわれています。
かなり前のことですが、外国の、半分砂漠(さばく)のような所で、野性(やせい)のヒエ(麦のなかま)を何日もかけて採(と)っている人を見たことがあります。畑ではないので、ほんのちょっとづつしかとれません。
何日かかけて、何日分かの食べ物を得(え)るということは、ほかのことはほとんど何もできないということになります。えっ、テレビ? そもそも電気がありません。水さえ、あまりないのです。
夜は、青白い月の光で、砂漠が雪の野原のように光ります。それがあかりだったのでした。