「昔、お琴を習っていたがやめてしまってもう弾くこともないし、教室で使ってもらえたらと思って・・」と、お電話をいただくことが時々あります。
丁寧に聞き取りして、お宅に見に行かせていただきます。
今日も一軒、お伺いしました。
「半世紀以上前のお稽古用の楽器」と聞いていたため、使用は難しいだろうな・・と思っていました。
でも持ち主の方にとっては大切な思い出の楽器。
拝見しながら、色々なお話を聞いていきます。
持ち主の方の目には「絃も切れていないし、まだ弾けそう」に見えるようですが、今日のお琴は木の水分も抜けきって傷みもあり、残念ながら絃を張り替えて再生する価値があるようには見えませんでした。
市内の学校に寄付することも一瞬考えましたが、メンテナンスが難しい物をお渡ししてはかえって迷惑かもしれません。
今回は心を鬼にして「ごめんなさい。これはもう楽器としての役目を終えていると思います」とお伝えしました。
実はこれまでの私は、声をかけて下さった方に悪いな~と、断れずに引き取ってくるばかりでした。(そして処理に困る・・。)
今日は初めて私もちゃんと「断る」ことができた記念すべき日!(相当大袈裟(^-^;)
でも、古い楽譜の数々と琴柱一組と琴爪一組は有効に利用させて下さいと申し上げたところ、それらが使える物とは思っておられなかったようで、驚いた表情を浮かべつつどうぞどうぞとお譲りくださいました。
それからひととき、広いお庭のウッドデッキで心地よい風に吹かれながら(ちょうど良い曇天でした!)お茶と手作りお菓子を頂戴しつつ、音楽談義に花を咲かせました。
不思議なご縁に感謝です。