2024年最後の月に入りました。
今日(12月4日)はまだ年末感も無くて、普段通りのお稽古日。
入門して半年になるHさんは、三味線リュックを背負って自転車でやってきます。
「楽しみで通っていますから」と、いつもニコニコです。
古くから「芸事の稽古は6歳の6月6日に始めると上達が早い」という言い伝えがありますが、Hさんは6歳では無かったものの6月6日からのスタートだったので、三味線を長く続けて下さるといいな~と思っています。
浮世絵収集がご趣味で、ある日「お師匠さんにもプレゼントします」と言って、歌川國周と周延の浮世絵コピーを下さいました。
(私はお師匠さんと呼ばれています(^^;)
この二枚の絵は稽古部屋を彩ってくれています。
Hさんは三味線手ほどきの曲集をお稽古していますが「うんうん、なるほど~。こりゃ難しいな。」「次のを弾いてみようかな・・」と言って、まだ習得しきっていない段階なのに、ご自分で次に進んでしまいます。
普通はひと通り弾けるようになるまで、先には進めません。
当初、私は戸惑いました。
しかし「ひとりひとりに合った指導」を信条にしているので、とりあえず黙って様子をみることに。
数週間すると、わかってきました!
Hさんは出来ないところを単に諦めてしまったのでは無く、自宅で振り返りっては自主練習を続けていました。
そしてご自分のペースで難しいところを攻略していったのです。
曰く「だって、楽しみで来ているのに、ちゃんと弾けるまでやり続けるっていうのは辛くなっちゃうでしょ!」と。
完成に拘らずひとまず先に進み、後戻りしたり前進したり自由に行き来し練習する!
その方法で実際、Hさんは少しずつ上達しています。
私は先生家業を長く続けて来ましたが、練習曲で行き詰まる生徒はこれまでにも何人かいました。
何週間にも渡って稽古してもなかなかクリア出来ないと、見ている私も辛くなって来ます。
そのような時は「この曲は一旦保留ね」と言って次の曲に進み、後で再チャレンジさせていました。
Hさんは自発的にそれをやっていた訳というですね・・・
生徒から学ぶことはたくさんあります。
十人十色、その人に適した指導方法を常に考えながら、そして和楽器を好きでいてくれるようにと願いながら・・・
これからも日々のお稽古を積み重ねて、自分自身も成長したいと思います。