新年度の4月も既に半ばを過ぎる今日この頃。
学生さんは学年が一つ上がり、お勤めの方は部署異動等の変化があるかも知れませんが、当教室はそれ程変わりなくいつも通りの和楽器練習の日々が続いています。
さて、久〜しぶりのブログ更新です。
先月、私は出身大学の講座を受ける機会を得ました。
その講座は私が専攻した生田流箏曲と地歌三絃の古い形態の楽器【長磯箏】【柳川三味線】に関する研究発表であり、第二部ではなんと参加者が楽器の試奏をして良いという、大変魅力的な講座でした。
古態楽器の研究代表者である長谷川慎さんは私の1学年先輩で、現在も大学で教鞭をとりつつ、研究や演奏を続けておられます。
第一部、「古態の楽器による地歌の会」の方々による座談
第二部、江戸期・明治期に製作、演奏されていた古態楽器を実際に自由に鳴らしてみることができる時間
第三部、演奏の鑑賞
現在、私たちの演奏する箏は至ってシンプルですが (一部分、隠れた所に豪華な装飾が施されている舞台用楽器は別として)長磯箏は蒔絵や彫金飾り、螺鈿細工、寄せ木細工、飾り房などが施されており絢爛豪華!
「お城のお姫様が弾く高貴な楽器」で「敷居が高い」という古いイメージは、贅沢品のような楽器の造りから来ているのかも知れません。
太めの絹糸を現代の締め方よりやや緩く張った絃は、落ち着いた優しい音色がしました。
かの有名な八橋検校のいた時代に修理されたという記録が残る箏も拝見し、感慨もひとしお。
京都の柳川三味線は現在の地歌の中棹よりも華奢で細い棹、なのに大ぶりな駒がかけられています!
一番特徴的なのが撥です。握りが薄くて撥先が小さい。
「しゃもじ」や「へら」のような感じです。
いつも使う津山撥とあまりにも違う・・・う~ん、これは一体どう鳴らすのが正解なの?と私は困惑してしまいました(^^;)
柳川三味線・地歌三味線のエキスパートであられる梅辻理恵さんに教えを乞うも、短時間では弾きこなすことができませんでした。
出来なかったことも一つの良い経験かな・・。
体験のあとは、箏組歌中組「三つの調」や地歌長唄物「躑躅」の実演を間近に鑑賞。
古態楽器の音色を味わい、古典の世界の奥深さは勿論のこと、現代の楽器での演奏に繋がるヒントも自分なりに得ることが出来て大変よい時間でした。
かつての私は勉強熱心とは言えない学生でしたが、いくつになっても学びは大切!
この経験をこれからの自身の演奏や指導に反映させて行きたいと思います。