平野杏子(ひらの きょうこ、1930~)は1930年に伊勢原市に生まれ、戦後1954年から平塚市に住む洋画家です。
女性作家が稀であった昭和戦前期から制作をはじめ、70年余に及ぶ画業のうち、数々の大作を手掛けたほか、女性作家による潮会の中心的役割を担い、そのアトリエが近隣の画家や評論家が交流する場になるなど、平塚の文化振興に大きな役割を果たしました。
平塚市美術館での本格的な展示は17年ぶりとなります。
結婚、出産、育児と制作の両立という課題に向き合う中で病を得、生と死、輪廻転生などについて考察するようになったことから、画業初期の穏健で温かな作風は一変。折しも画壇に表れた抽象表現の潮流をも見据え、仏典や仏教思想を容れて立ち現れた「幻視」の世界を描くことがライフワークとなり、平野杏子芸術の世界観がかたちづくられました。
出身地の伊勢原では幼少期に縄文土器や遺跡が出土。作家に「原始」「縄文」への憧憬の念を育み、その感性は土着の風土と信仰が混じり合う独特な画風を養いました。
作家は長い画業の中で多彩に画風を変換させましたが、ただその中でも平塚や湘南の地に太古から息づく風土を見出し、普遍的な哲学や造形思想を加えながら表わす「原始」へのまなざしは一つの柱として貫かれています。
本展では、密度のある大作を手掛けた60年代以降の作品から新作にいたる作品およそ60点を、二つのキーワード「幻視」「原始」をもとに紹介します。
生きることと創作の狭間で抱えた、深い悩み。それでも実際に自ら感じ、地に足を付けて描かれた作品に浮かぶ、作家のまなざしや描くことの喜び。
祈りにも似た境地で描かれた一群の作品は、ポストコロナの現代を生きる我々に、何を語るのでしょうか。
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開催期間 | 2024年4月6日(土) 〜 6月9日(日) |
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時間 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
場所 | 平塚市美術館 |
料金 | 一般800円(640円)、高校生、大学生500円(400円) |
アクセス | JR「平塚」駅(東口改札)北口、または西口より徒歩約20分 |
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主催・協賛団体など | 【主催】平塚市美術館 |
TEL | 0463-35-2111 |
お問い合わせ先 | 平塚市美術館 |
ウェブサイトURL | https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/ |