Tweet

90歳を過ぎた現在も活発な創作活動を行っている絵本作家、かこさとし。今年刊行50周年を迎えた「だるまちゃん」シリーズ、『からすのパンやさん』を始めとする「おはなしのほん」シリーズ、物語絵本や科学絵本、伝承遊びに関する本等、世に送り出した著書は600冊を超えます。藤沢に40年以上在住し、2016年には藤沢市総合図書館の開館30周年を記念した直筆画が寄贈されるなど、本市にも深い縁のある作家です。

かこさとしが絵本を制作するきっかけとなったのは、20代から関わったボランティア活動（セツルメント福祉運動）で出会った子どもたちとのふれあいでした。以来、絵は子どもたちとのコミュニケーションになり、遊びの現場から得たアイデアを基に次々に作品が生み出されました。その創作の根底には、子どもたちが幸せであるように、また、子どもたちの暮らす世界が平和であるように、という彼の強い願いが一貫して流れ続けているのです。

今、世界各地で紛争やテロが頻発し、貧困やいじめが蔓延するなど、子どもを取り巻く環境は決して穏やかであるとは言えません。さまざまな友達と遊びながら、思いやりや創意工夫を覚えていくだるまちゃんの姿に、子どもの明るい未来への一端を見出す方も多いのではないでしょうか。

本展では、この「だるまちゃん」シリーズを中心に、絵本原画（複製含む）や絵画作品約40点紹介します。親子三世代にわたって読み継がれるかこさとしの作品を通じて、次の世代に残したい大切なものは何かをこの機会に考えてみませんか。