9月23日(月・祝)の秋分の日、深刻な海洋汚染を引き起こす「海洋プラスチックごみ問題」を「皆で知り、考える」ためのイベント「海洋プラZEROサミット」が、鎌倉市材木座ビーチに面したレストラン「POST by HONEY」で開催された。
発起人の山中洋史さんが第1回を開催したのが前月の8月31日(土)で、同日は第2回。
普段は都内でwebデザインやwebマーケティングを行う会社を経営。転機は今年の3月に鎌倉の海近くに引っ越してきたことだったという。
地元となった鎌倉の海で、元々好きだったマリンスポーツに打ち込むうちに、海中にあまりにも多くのごみが漂っていることに気付いたという山中さん。
中でも多かったのがコンビニのビニール袋やお菓子の袋。
「子供のころから様々な形で親しんできた海をこのままにしておけない。今、自分たちが出来ることをやっていきたい」と、同イベントを企画した。
初めに、スクリーンを使用しての、海洋プラ問題について学ぶワークショップが行われた。
現在、海に流れ込んでいるプラスチックごみは年間800万トン。およそジャンボジェット機5万機分にもなるという。
世界経済フォーラムからは、「2050年には海洋プラスチックごみの総量が海にいる魚を超えてしまう」という予測が発表されている。
また、海の生き物にとっても海洋プラは命にかかわる危険な存在だ。
例えば、海中を漂うビニールはウミガメには餌のクラゲに見える。海鳥にとっても、プラスチックごみに付着した藻から餌と同じ匂いが発生するため、海の生き物たちが誤ってプラスチックごみを食べて、本来の餌を食べられずに餓死してしまうことも大きな問題となっている。
プラスチック製品の殆どは自然分解に20~600年と膨大な時間を要し、いつまでも残り続けるうちに紫外線により劣化し、細かい粒子「マイクロプラスチック」になっていく。。
1欠片が5mm以下というマイクロプラスチックの回収は困難を極め、今や世界中に分布し、地球規模での生態系や、巡りめぐっての人体への影響が懸念されている。
▲実際に山中さんが拾い集めたというマイクロプラスチック。「浜辺を歩いていると本当にマイクロプラスチックだらけなので驚きます」
これらのプラスチックごみの中で、海水浴客や釣り客の捨てたものなど、海で発生したものは全体の約3割。実は残りの約7割は、陸上で発生し、河川経由で海に流入している。
「普段の暮らしの中で、ごみを出さないこと、環境について意識することが海を奇麗にすることに繋がります。一人ひとりが、少しずつでも出来ることはたくさんある。今後もこうした機会を重ね、皆で考えていきたい。地域の方々に気軽に参加してもらえれば」と山中さん。
同日はあいにくの強風のため中止となったが、ワークショップの後には実際に浜へ降りてのビーチ―クリーンも実施する。
前回は30分で約10kgものごみを回収できたという。
続いて、もう1人の主催メンバー小野寺麻理子さんによる、国内で現在進められているリサイクルの取り組みについてのミニ講座が開かれた。
2020年東京オリンピックの金・銀・銅メダルは実は携帯電話など小型家電をリサイクルして作られており、これを手掛けた企業を例に取りながら、「“楽しさ”を提供することで周囲を巻き込む、参加のモチベーションを保つリサイクル」を提案した。
同日もその後は食事をしながらの意見交換が行われ、テーマについては真剣に向き合いながらも雰囲気は和やかで終始あちこちで笑い声が上がっていた。
次回開催は10月14日(月・祝)予定。参加して「楽しい」イベントを目指し、ライブなども企画しているという。
一人ですべてのごみを拾うことはできない。いきなりプラスチックを一切使わないことも難しい…。
まずは気軽な“サミット”から、一歩踏み出してみては。
詳細はFacebookにて発信中。
■第3回「海洋プラZEROサミット」概要
日時 | 10月14日(月・祝) |
場所 | 「POST by HONEY」(材木座テラス3F) 神奈川県鎌倉市材木座5丁目8-25 鎌倉駅東口 7番乗り場よりバス「鎌40(新逗子駅行き)」または「鎌41(小坪行き)」、「臨海学園」下車徒歩4分 |
地図 | |
内容 | ・海洋プラについてのワークショップ ・ビーチクリーン ・BBQ ・ライブ 他 ※希望者向けに13時半~ピラティス体験会も実施します(要別途申込) |
料金 | 【食事代】大人:3,500円、子供(小学生以下):2人で3,500円 ※未就学児は無料 ※BBQの金額はお店と調整中ですので、少し変動する可能性がございます。ご了承ください。 +別途ドリンク代実費 |
申込・問合せ | 海洋プラZEROサミットFacebook |