11月16日(土)、「eスポーツ」と「インターネットリテラシー」について学ぶイベント「~みらいをつくる~ 親子で学ぼう! eスポーツ体験」が11月16日(土)、茅ヶ崎公園体験学習センター うみかぜテラスで開催されました。
「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」とは、ゲーム機やPC、スマホ等で遊ぶ所謂「コンピューターゲーム」をスポーツとして捉え、取り組む競技。
世界中で大きな大会が開催されており、何億円もの賞金が出る非常に夢のある大会も。日本にも多くのプロチームがあり、プレイすることとは別に“観戦”“応援”を楽しむファンが大勢いる点もスポーツと変わりません。
一方で、ゲームとは縁遠いという方でも、今や生活と切り離すことが出来ないのがインターネットの存在です。
非常に便利で生活を豊かにしてくれることは皆さんご存じの通りですが、様々なリスクとも常に隣り合わせなため、安全に活用するためには一定の予備知識が必要となります。
「リテラシー」とは元々「識字能力」を意味する単語ですが、近年よく耳にする「インターネットリテラシー」はそこから転じて、ネット上の情報を正しく読み解き、適切に利用する能力を指す用語です。
主催は茅ヶ崎市社会教育課。これまでも市民に向けたインターネットリテラシーの講座を開いてきたものの、「ネットリテラシーを学びたい、と思って参加してくださる方はそもそもある程度のリテラシーのある方。中々、もっと広い層まで届かない」との課題を感じていたと言います。
「そんな中、近隣の自治体でeスポーツのイベントを行った事例を耳にして、eスポーツも絡めれば、子どもたちが自ら学びたい講座になり、裾野も広がるのではないかと考えました」(同課・木村さん)
企画、設備提供等、茅ヶ崎市内でeスポーツの教室を営む「茅ヶ崎eスポーツクラブ」と、同じく市内のデザイン会社「Vanana Studio」が共催。
「Vanana Studio」代表の岡山航旗さんは実際にeスポーツチームを運営していた経験もあり、以前から「地域に自分の知識、経験を還元し、eスポーツ文化を盛り上げたい」との思いがあったのだそう。
▲両企業の協力もあり、集会室の一画にゲーミングPCやプロジェクターによる大画面での本格的なゲーム環境が出現しています。
官民の連携によって実現された同イベント。
小学3~6年生の親子を対象に参加募集をしたところ、丁度その世代から非常に関心の高いテーマであったようで、初の試みながらも定員16組の3倍以上の応募があったのだとか!
リテラシーに関して講師を務めたのは、「茅ヶ崎eスポーツクラブ」代表の山村悠さん(=上写真)。
ネット環境が必須のスポーツであるため、日頃から生徒たち対してはしっかりとネットリテラシーを育むことを心掛けているそうです。
前半は座学での理解度クイズ。eスポーツについての基礎知識や、ネット上でどんなことに気をつけるべきか? といった内容を、子どもにもわかりやすい〇×形式でレクチャー。
かつて、ゲームは”ただただ子どもに悪影響なもの”とされた時代もありましたが(記者の子ども時代はまさにそんな風潮でした)、現代のゲームはアクセシビリティ(=すべての人にとっての利用しやすさ)に配慮されたタイトルも多く、全盲のプレイヤーが大会で優勝したり、全員が60歳以上のプロチームが活躍するなど、障害の有無、国境、年齢、あらゆる垣根を越えて一緒に楽しめるスポーツとして注目を集めているのだとか。
一方では高い中毒性が故の依存症や過度な課金、インターネットトラブルなど、様々なリスクとは依然、無縁ではありません。
「ゲームをする環境で言えば、子ども部屋にゲーム機があって、一人で遊べるという状況は閉じた環境になってしまい、トラブルがあっても気付けなくなってしまいます。リビングであれば、何かと親御さんの目が届くようにできますね。大人が正しいネット知識を持った上で、子どもと一緒に考えながら、常にケアしてあげることが大事です」とのお話も。
勉強を個室ではなくリビングで行う「リビング学習」と同じような理由で、“リビングゲーム”にもメリットがあるんですね。
後半は子どもたちお待ちかねのeスポーツ体験。
eスポーツでは一般的なキーボード・マウスというスタイルでのマインクラフトのプレイやゴーグルを使用するVRゲーム、大画面でのカーレースゲームなど、どのブースも大盛況。
▲”世界一売れたゲーム”としてギネス認定されている「マインクラフト」。一部学校教育の現場でも使われており、慣れた様子でプレイする子の姿も。
目玉は最大4人で対戦できる人気アクションゲームでの、親子タッグマッチトーナメント。
参加チームはそれぞれオリジナルのチーム名を付けてエントリー。大きなトーナメント表が貼り出され、山村さんの実況もeスポーツの雰囲気たっぷりです。
キャラ選びにも自信が溢れる子から今日初めて遊ぶという子まで、ゲームの実力はそれぞれの様子でしたが、「親子タッグ」のルールによって絶妙なバランスが生まれ、不思議と一方的な試合には中々なりません。
「ゲームは触ったこともない」と、直前まで操作方法の書かれた用紙を見つめていた保護者の方も、試合中にどんどんコツを掴んで楽しまれているようでした。
決着の瞬間には勝っても負けてもついつい声を上げ、誰もが笑顔に。
お子さんがプレイ中に「お母さん頑張れ!!」と“チームメイト”を励ます声、試合を終えた子どもたちが仲良く別の体験ブースに向かう姿も微笑ましく、交流ツールとしてのゲームの有効性を感じる光景でした。
当日の参加者の方にもお話を聞いてみました。
市内の白浜町からお越しという10歳の娘さんとそのお父さん。
「eスポーツ」という言葉自体は耳慣れないものだったものの、回覧板でチラシを目にしたお子さんが自発的に参加を希望されたとの事。
「ゲームはゲーム。エンタメという認識しかなかったけど、スポーツとしての地位を確立しているのを初めて知りました。ネットを介して他者と対戦したり、昔とは違う点も多い。親が放任し過ぎず、適度に楽しく付き合えるよう、見守るのが大事なんだなと思いました」と、お父さん。
リテラシーの裾野は確実に広がりつつあるようです。
「茅ヶ崎eスポーツクラブ」では、随時体験会を開催中。
同イベントが気になった方は、ぜひ教室の方を訪れてみては。
取材協力
●茅ヶ崎市社会教育課 TEL0467-81-7226
社会教育講座開催予定・アーカイブ
●茅ヶ崎eスポーツクラブ Instagram・HP
TEL080-4682-3895
神奈川県茅ヶ崎市中海岸1-1-36-105